倫理、せっぱつまり

大学へ来ると現実が襲ってくる。ポイント、ポイントでおてまみ。はい。

そうはいっても、やらにゃならんこたあ、やらにゃあ。

声帯除去手術を受けたってだけで、批判にさらされていたのに、死んじゃった。

これも、原発事故後、節電施策の被害者なんでしょうか。ガス欠でエアコンが止まった?誰も得をしない事件。

声帯除去という術式は人にはない。喉頭全摘に準ずる術式か、誤嚥防止の声門閉鎖、喉頭気管分離だ。いずれにせよ、永久気管孔を作らねばならず、Zippeiにそんなものはなさそうだった。供養の代わりに調べたよ。どうだろうな、この入り。

http://en.wikipedia.org/wiki/Devocalization
Devocalization (also known as ventriculocordectomy or vocal cordectomy というそうな。直訳すると、喉頭室・声帯切除術あるいは声帯切除術だ。なるほど。

http://www.koinuno-heya.com/zukan/seikei-devocalization.html#2
パンチ!人で言うと初期の喉頭がんの前癌病変、高度異形成の時に行う、声帯レーザー焼灼に近い。結構瘢痕化して気道狭窄の危険もあると思うが。術式として成立しているということは、安全性が確立しているんだろうけど、獣医の先生方は大変だ。心の持って行き様が。アメリカ人が簡単に割りきってしまいそうな解決法だ。日本人には合わないような気はするけどな。

人工的に嗄声を作る手術ってこと、なんてこった、昨日頑張って嗄声を直そうと手術場であくせくしたのに、一方で嗄声を作る手術もある。いくらペット社会が進行しても、ペットの声帯ポリープを取ってくれみたいなことはないんだろう。声帯へ侵襲を加えることに躊躇がない感じ。
耳鼻科医なら、Ejnell法か、披裂軟骨内転術の逆、Woodman法を考えたいところ、これなら元に戻すこともできる(ちょっと言いすぎかもしれぬが、少なくとも声帯遊離縁は機能を温存できる)。
費用対効果や、ラリンゴでやる方が皮膚切開が要らないから選択されるのだろう。

解剖からして、声門閉鎖不全となっても、犬は誤嚥しないということか。直立したのが失敗だな。

さて、誰のための手術なのか?