真菌と莢膜の病原性


細菌の莢膜はさまざまな病原性を持つとされる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8E%A2%E8%86%9C

細菌そのものの病原性が検討された時代は、莢膜の化学組成や抗原性、結合親和性などいろいろ。
最近は菌外への働きかけに話題が展開されることが多い。バイオフィルムのmatrix組成や細胞外DNA、それらを介したQuorum sensing, 抗菌薬への耐性機構、逆に生体防御機構も、白血球が貪食するだけでなく、NETsなど細胞外への作用が取り沙汰される。

さてとおもったら、上司から真菌のDNAをしらべよと指令がきた。うーむ、そんな時間は無いのになあと思いながら、微生物学教室へ学生以来のアポ無し突撃、「真菌?やってませんね」と秒殺されそうだったが、講師の先生が連絡先を教えてくれれば調べておくよ、と言っていただく。ありがたや~。

そして、新たな抽出キットを購入してみた。

しかし、カビである。絵面が細菌より毒々しい。
活字中毒に近い私はトイレの書籍の選択も重要な仕事。短時間でキャッチーな方がいい。ホリエモンの話もいいけど、仕事もしないとと、ちょっと前からカビの本を置いていた。専門の細菌よりあきらかに生命活動が派手、そしてプラスティックを食う。

洗濯槽を始め、電気回路基盤のウェハース、フロッピーディスク(時代だ)など、プラスティック製品はことごとく真菌の攻撃を受けていた。恐ろしいのう。細菌の生育条件よりもっと厳しい条件下で生きている種族。そりゃあ岸壁の岩肌に地衣類もはびこるはずだ。

半導体メーカーの宇宙服は、粉塵が基盤に落ちるのを予防しているのだと思ったけど、真菌からの防御の役割のほうが大きい?

細菌を育てる同じ培地で上司が育てたプレートがグロい。胞子が飛びそう。こっちも病気になりそうなので、まじめにクリーンベンチで拡散予防しながら凍結保存した。半分植物みたいなもんで細胞壁も頑丈にできている。

DNAを取るには、細胞壁を処理せにゃならぬ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E8%8F%8C
「形態的には単細胞の微生物であるものから、肉眼的大きさ以上に発達する多細胞生物までを含む。しかし、多細胞体を持つものにおいても、菌糸と呼ばれる1列に配置する細胞列までしか持たず、真の組織を発達させない。」

にょろにょろベース。

「現在の分子遺伝学的情報からは、植物よりも動物に近い系統であることがわかっている。動物と菌類を含む系統のことをオピストコンタ」

おぴ?

「地衣類は、コケ類と間違われやすいが、菌類の作った構造の内部に藻類が共生して成立している、複合的な生物体である。」

カビでできた住処に藻類が。

「菌類は栄養を吸収するために、酵素によって他の動植物を構成する高分子を分解している。 特に、セルロース、リグニン、コラーゲンといった他の生物にとって分解の難しい高分子を炭素、窒素、リンの低分子化合物に分解することができるので、それらの物質を生態系のサイクルに戻す分解者としての役割を担っている。」

「病原菌は多糖類からなるキチン質の強固な細胞壁を持っているのみならず、人体と同じ真核生物であるため菌類の細胞だけに損傷を与えて人体組織に害の少ない薬物は非常に限られたものとなる。」

よく、睡眠導入剤と抗真菌薬の併用で疑義照会が来る。

あら、学会で基礎手技のワークショップがあるなあ。
http://www.mycology-jp.org/~kb-msj/workshop/H10workshop.html