SDSで手が洗えないかなー

30%SDSを調整してよく失敗するので、大量の濃度がまちまちSDSが残った。やれやれ。

界面活性剤、石鹸なんだから洗い物に使いたい所。

石けん学の肯定

http://plaza.harmonix.ne.jp/~krand/dia/jakusansei.html

花王が「皮膚研究所」を設立(1976)し、角質細胞間脂質の主要成分セラミドとそのバリアのメカニズムを発見(1985)し、合成セラミドに成功(1987)した

ドイツ生れのセバメドsebamedで、皮脂膜のpH5.5を皮膚の至 上のバリアとみなし、洗浄剤等も皮膚に負担のかからないpH5.5であるべきというコンセ プトですべての商品化(1950年代)

 →弱酸性の根拠

皮膚の弱酸性の生理をクローズアップした嚆矢のものですが、皮脂膜のAcid Mantleの 主役である遊離脂肪酸は、時間とともに酸化して刺激物になり、皮膚上からの除去の対 象になります。また発汗があると(乳酸とともに)炭酸水素イオンが遊離して、皮膚のpHは6.5~7.5くらいに上がります。 注) 小川徳雄「汗の常識」

 →わかりやすい。ホメオスターシスはどのあたりの水素イオン濃度になっているのか。

現在は皮脂膜・角質細胞間脂質・NMF(天然保湿因子Natural Moisturizing Factor)の3者が皮膚のバリアで、うち細胞間脂質の主成分セラミドとNMFの主成分各種アミノ酸の2者が主たる要素とみなされています。

 →このバリアを保つような洗浄剤が望ましい。

廉価な合成洗剤の登場と無関係ではありません。「アルカリは 繊維を損なう」という論点で石けんをしりぞけながら中性洗剤を表舞台に押し上げてい った

 →おもしろいなー。

 「石けんのpHがアルカリ性のため、皮膚に対して悪影響を及ぼす懸念がある。しかし 健常者の場合、皮膚は外部刺激に対する保護作用としてpH調整機能もつので問題がない ことが知られている。たとえば石けんを30秒~2分間使用すると、皮膚のpHは0.6~0.8高 くなるが、45分~2時間でもとにもどるというKlenderらの報告がある」

 →まあ、pHが戻るのには結構時間がかかるけど。

 pH調整機能があるから、かならずしも、弱酸性でなくていいよーってこと。

基本的に洗浄の対象になる皮膚上の成分ですが、

 皮膚表面に張りついている 一日一層落屑するといわれる古い角質

 毛穴のなかの皮脂腺から分泌された 油脂・脂肪酸・ロウ・ステロールエステル類・スクワレン・その他の炭化水素類・コレステロール

 汗腺から分泌された無機塩類・乳酸・尿素・重炭酸など

 外から付着して きた灰分・塩類・塵芥・煤煙・鉱油など

 毛孔・汗孔・皮膚表面に棲息する常在菌・微生物

などです。

湯水であらい流される物質は

 汗の成分・塩類・老廃角質・その他の垢成分

皮脂成分・鉱油・塵芥などの多くは湯水洗いでは落せず、常在菌・微生物・その他の細菌も取れません。また人によって常在菌並みに存在する黄色ブドウ球菌も除去できません。

 低刺激性・弱酸性の洗浄剤は概して石けんより洗浄力を抑えた洗浄剤であり、設計上から上記のような十分なよごれの除去はできません。石けんはそれらをクリアし、必要最小限のところでなお必要十分な洗浄力を発揮するものです。

→なるほどね。

皮膚への浸透こそ皮膚のバリア破 壊の端緒であり、生体機能物質を溶出する直接の契機となるから

月のしずく問題。これが有害か無害かの分かれ目。

皮膚のバリアは、

皮脂膜(「トリグリセリド(油脂)、35%・遊離脂肪酸25%・ワックスエステル20%・ スクワレン5%」などです。水分・塩化ナトリウム・乳酸など汗の成分がそこに加わります。 )

 角質細胞間脂質(「スフィンゴ脂質(セラミド+セレブロンド)50%・脂肪酸20%・コレステ ロールエステル20%・コレステロール10%」)

 細胞間結合水(NMF(天然保湿因子)を含み、その成分は「アミノ酸40%・ピロリドンカル ボン酸PCA12%・乳酸塩12%・尿素7%・無機塩類27%・その他2%」)

の3つのバリアから構成されることになります。外からの浸入と中からの浸出をふせぐバリアですから、一度外部から物質が浸透すると、内部の細胞間脂質と細胞間結合水も外へ溶出されます。ドライスキンのはじまりです。一度壊れたバリアを修復するのは容易ではなく、

ドライスキン、アトピー性皮膚炎。

 安全な洗浄剤の基本の条件は、バリアの角質層へ浸透しないことです。それが皮膚に 対峙する全ての物質の(安全のための)必要不可欠な条件です。

→丁寧でわかりやすい説明だ。

「SDSドシデル硫酸エステルナトリウム5%水溶液」で処理すると、水溶液のせい で「AE・水処理」と同等のプロセスをたどり、最初の1分間はスクアレン・ワックスエス テル・トリグリセリドが溶出、その後にコレステロールエステル・脂肪酸・スフィンゴ 脂質が溶出し、さらに水分と各種アミノ酸も溶出してきます。

 SDSは古来からAS(ラウリル硫酸ナトリウム)と呼ばれる嚆矢の合成洗剤ですが、かってはシャンプーなどにつかわれ、現在も

 練歯磨き・洗濯洗剤などに配合

されています。

 AE・水処理とSDS5%水溶液のいずれも皮膚への浸透が起りますが、皮膚にとって「皮脂 膜」がまず重要な1つのバリアであることが分かります。それを通過するまでにアセトン /エーテルなど強力な浸透溶剤でもそれより緩和とみられるSDSでも、同じ「1分間の猶予」 があるという事実は、皮膚上での界面活性剤の挙動を認識する上でも重要です。

 すなわち、石けんとその他の洗浄剤が皮膚上でつかわれるとき、それらはまず数秒から 数10秒で流されてしまいます。強力な界面活性をもった洗剤でも、その時間内では浸透 がおこらず、角質細胞間脂質およびNMFの溶出もおこりません。要するに1~5分以上皮膚 上に吸着残留する場合のみ、その虞(浸透と溶出)を予期すべきということになります。残留の可否が問題を左右するというということです。

→SDSは5%で使用して、1分以内に洗い流せば手指洗浄剤として使えるということだ。

重要なのはpHが3~5くらいが(0.75~0.58mg/g)吸着が大きく、9~11くらいは(0.45~0.43mg/g)小さいという事実です。つまりSDSの洗浄後の吸着残留は、弱酸性側で大きく弱アルカリ性側で小さいというデータです。

→SDSの長期残留はpHに依存する。