沈船

キンメモドキの群れに囲まれると、絶対的な個体数の差があるのに、恐怖感はなく、圧倒されるばかりだった。
http://sfriends.blogzine.jp/photos/yossy/p8250034.html
http://fishing-forum.org/zukan/mashtml/M002815_1.htm
http://www.fishbase.org/Summary/SpeciesSummary.php?id=5803&CFID=898767&CFTOKEN=44192837

群れを作る意図は、
「捕食者を発見しやすくなるとともに、一個体当たりが監視行動に費やす時間が短くなること。場合によっては集団で対捕食者防衛にあたれること。逆説的であるが、大型捕食動物に狙われる草食動物の場合、群れからはぐれた個体が狙われることが多いのもこれを示している。」
「極端な多数で集まると、天敵に食べ尽くされないことで子孫が残せる。ある時期に急に集まって繁殖する場合、当然ながら天敵も集まってくるが、それを凌駕するほどに集まれば、必ず多数個体が生存する。それをも食べ尽くすほど天敵が集まると困るが、天敵側ではそれ以外の時期も餌を採らねばならず、ある時に急に多量の餌が生まれても、それを食べ尽くすほどの密度を普段から維持できない。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%A4%E3%82%8C
ということが動物行動学で指摘されている。沈船の下で待ち伏せするハナミノカサゴの個体数ではキンメモドキの群れを食べ尽くすことは出来そうにない。しかし、通年性に群れているこの種は、第一の理由で群れていると考えられる。
魚の目に感情はない。死の間際に悲哀を感じることがあっても、その他の場面で喜怒哀楽を示すことはディズニー映画以外にはない。だから集団で取り囲まれても恐怖を感じないのかもしれない。何れ捕食される運命にあるという達観がダイバーを受け入れてくれるのかもしれない。
沈船の周りの魚群の濃さは大型魚から小型魚までが、珊瑚、藻類、プランクトンの豊富な環境を背景にコロニーを形成していることで保障されている。食物連鎖にくみしない、観察者としてのダイバーがこのコロニーに乱入しても彼らには痛くも痒くもないのかもしれない。