今の職場になって本当に睡眠時間が伸びた。楽しすぎ。
それでも、当直やなんやらでよく寝てない日も多い。5時間ぐらいですませばいいんだろうけど、そりゃあ8時間寝れたほうが体調はいい。明らかに徹夜あけは頭が働かない。
起床後に30分腹式呼吸をしろと、小さい頃から言われてきたが、全く習慣化しない。その利得が実感できないからだとおもう。人生をかけた試験の前なんかには、瞑想してる振りしてこっそり腹式呼吸したりはしちゃうのだが。
リズミカルな運動と神経系の影響というのは、最近はセロトニンを中心に記述されるようになったそうな。日常臨床では、抗うつ薬としてセロトニン再取り込み阻害薬が一番馴染みがある。
ウィキペディア形式で神経系のまとめ;セロトニン
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瞑想や健康法的なものはいつも、トンデモ科学や新興宗教がからむ。中枢神経系を記述すると大方そちらへ迷走するものだ。
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ロングブレスってのも流行ったが、体性運動は考えこまなくて体を動かすから、情念が入り込む余地が少ない。シンプルだ。しかし体を動かしたからといって、一時的に心拍数を上げても、後で筋性疲労がのこって仕事効率は落ちる気がする。仕事終わりにすることだろう。
睡眠不足で頭がボーとしてるときに、20分寝ればいいとかいうのも、脳内で内分泌系が調整されるような感じか、エビデンスに欠ける。。。
ときどき、セロトニン神経という言葉がでてくる。
学生の時に習った分類は、
1.中枢か、末梢か
2.運動神経(遠心性)か知覚神経(求心性)か、自律神経か
3.神経線維の太さに起因する伝導速度分類
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が、大きな幹だった。おおよそ取り扱いやすい末梢神経をモデルにした研究がベースになっていて、伝達物質に基づいた薬理を元に、薬剤投与、あるいは神経刺激によってメカニカルに反応する神経系の話が、いわゆる考え方の大本になっていた。特定の臓器の制御に、シナプス伝導を介した様々な内分泌物質が関与し、病態の説明を行うのは、日常的な話。
しかし、ノルアドレナリンやアセチルコリンほど、試験の中でセロトニンは自己主張をしていなかった。
「 セロトニン(5-HT)神経系への関心は、近年うつ病治療薬として選択的セロトニン再吸収阻害剤(SSRI)が汎用されるようになり、また、片頭痛治療薬としてトリプタン(5-HT1B/1Dアゴニスト)が使われるようになって、急速に高まってきた。セロトニンという物質が同定されたのは、50年以上も前になるが、その名前(serotonin)の由来はserumとtoneを組み合わせたもので、血管の緊張を高める働きから来ている。それは今日でも片頭痛の病態との関連で注目されている。一方、脳内にもセロトニンが同定され、その役割は当初、睡眠と関連づけられた。しかし、その後の研究で、睡眠ではなく、むしろ覚醒に関連する神経系として確立されてきた。覚醒システムに関連するとは言っても、その活性化因子はユニークで、呼吸、歩行、咀嚼などのリズム運動によって賦活される。私たちは、このセロトニン神経系の特性に着目して、呼吸のリズム運動として坐禅の呼吸法を、歩行のリズム運動としてウオーキング、自転車こぎを、咀嚼のリズム運動としてガム噛みなどを取り上げて研究してきた。」
後半の文章。。。。心配だ。
「セロトニン神経系は、脳幹正中部の縫線核群に数万個の細胞体として存在し、その軸索は大脳皮質から脊髄まで広汎な脳領域に投射して、さまざまな脳機能に影響を与える。中脳背側縫線核にあるセロトニン神経は上行性に投射して、大脳皮質全体、側坐核や前脳基底部などの大脳辺縁系、視床下部の諸核(視交叉上核など)に投射して、覚醒、衝動的攻撃行動、依存症、概日リズム調節などに影響を与える。正中縫線核のセロトニン神経も上行性に投射して、海馬における記憶情報処理に影響を与える。橋・延髄に分布するセロトニン神経は下行性に投射するが、大縫線核のセロトニン神経は内因性痛覚抑制系として働き、延髄縫線核群のセロトニン神経は脊髄の運動ニューロン(姿勢筋・抗重力筋支配)や交感神経節前ニューロンに影響を与える。」
セロトニン神経ってやつは、中脳から橋・延髄に分布する中枢神経なわけな。
上行性もあれば下行性もある。それぞれ神経解剖学的に、繊維の局在はわかるが、作用はよくわからんという、中枢系、あるある。
末血でセロトニンが血小板に取り込まれるというのは知らなかった。面白い。
「体内セロトニン総量の90%近くを占める消化管が全血セロトニン濃度の決定に重要であるという憶測が以前からあった。しかし、消化管の蠕動運動を亢進させる腸内セロトニンは、大部分がその場で代謝産物(5-HIAAなど)に変換され、一部漏れ出たセロトニンは肝臓で代謝されると考えられる。少なくとも腸管の血管内皮細胞には5-HTTが存在していないので、積極的にセロトニンを血中に排泄させる機構はないと言える。また、食後に血中セロトニン濃度が増加するという報告はこれまで存在しない。」
出た!いつも中枢系の内分泌の話は、腸内ホルモンと話が混乱してしまう。胡散臭いなー。
腸管に作用するホルモンがなぜか、脳内にも作用する、この事自体は明快な説明がついていない。
腹式呼吸で覚醒度が上昇するのは、機械刺激で腸内ホルモンが血中に溢れだし、BBBを通って脳実質を刺激するから、というSFを妄想したくなる。
灯リズム的には都合よさそうな物質ではあるが、腑に落ちる説明は見つけられないな。
運転中にガムを噛むと目が醒めるのはクリアカットなので、咀嚼嚥下担当科としては、そっちがシンプルな実験系になりそうな気がする。
depressionの患者さんの福音ではあるから、抑うつと覚醒については機序が確立しているということ。
咀嚼運動からセロトニン放出までを動物で追えればいいと思うが。
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日本人だけ。。結果もクリアではない。いまいちだなあ。
セロトニンと睡眠障害ではちゃんとした論文がでてる。困ったときのPlosOne
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曰く、
We used [11C]DASB PET imaging to assess caudal brainstem SERT expression in PD participants
Significant reductions of serotonin transporter (SERT) binding, a measure of serotoninergic terminals, are reported in several brain areas of PD participants with positron emission tomography (PET) using the selective SERT ligand [11C]-3-amino-4-(2-dimethylaminomethyl-phenylsulfanyl)-benzonitrile([11C]DASB) [27], [28].
ふーむ、PETでセロトニン輸送体(再取り込みする入り口)の変化を画像的に評価できるらしい。なるほどねー。