肌があたたかい

彼氏ができたから、といういかがわしい理由で肌がきれいになったことを、若い女性特有の自信に満ちた口調で言っていた。今日も彼女の肌はみずみずしく、はちきれんばかりで、眠っている様な、今にも歩き出しそうな程だった。
彼女が注いだ愛情の分だけ、あらゆる人が彼女を見舞う、18から病院に勤め、皆に愛され、なぜ、この瞬間に人生を閉じなければならないのか誰もわからない。

性格の優れていい娘だというのが第一印象だった。偏屈な医者の中でけなげに母親役を演じ、かといってでしゃばらず、どれだけ彼女にたすけられたことか、歴代の医師の言葉を聞かなくてもきっと、皆そう思っているに違いない。それほどいやみの無い人だった。くるくる頭の回転する賢い娘だった。

眠っているように見える彼女に何を話しかけていいかわからない。遠くへ行かないでほしいという思いしかない。

救いは彼女が以前と変わらず、今も皆から愛されているということだ。彼女にまた会いに行こうと思う。また、悩みでも聞いてもらおうと思った。